実験アニメーションの系譜。

【5月6日(土)】 『立喰師列伝』の続きになるけど、スクリーンを見ながら「スチル写真を使った、こ〜ゆ〜手法のアニメーションって、むか〜し『IKIF』がやってたよなァ」とボンヤリ考えていたら、スタッフのクレジットに「3D監督 IKIF」と出ていてビックリしてしまった。

 「IKIF」は1980年代に多くの実験アニメーションを発表して話題だった男女2人の制作ユニットで(確か東京造形大の人達じゃなかったかな)、当時、大学の自主映画サークルにいたボクは、彼らの作品を見て「世の中、いろんな事を考えつく人がいるモンだなァ」と唸ったものだった。学生だから、やがては卒業するわけで「きっと、どこかの会社に就職してCMか何か作ってるんだろ〜な」くらいに思ってたんだけど、まだ「IKIF」として活動してたんだ〜!

 調べてみたら「IKIF」のサイトがありました(下記参照)。二人とも(どうやら結婚されたようですね)、大学で教鞭を執りながら、現在も作品の制作・発表を続けているとのこと。併行して「IKIF+」というCG制作プロダクションを設立して、映画やゲームなどのCG制作を請け負っているそうな。あとで調べたら、その方面のギョーカイでは、定評あるプロダクションになっているらしい。

 なんだ……単にオレが無知なだけだったのか(-_-;)。

 それにしても……なるほど、昔は8mmや16mmのフィルムで作ってたけど、さすがに今はもォ、コンピュータだよな。でも、今だったらFlashで簡単に作れちゃうような動きも、昔は1コマ1コマ丹念に作ったワケで、今になって考えると、技術的にも体力的にもスゴい事だと思う。でも、それだからこそ「動き」についての感性が磨かれるんだろうと思うし、その辺りが、Flashアニメしか知らない昨今のヤツらとの“力量の差”につながってくるんだろうと思う(なァんて、つい、ジジくさいことをつぶやいてしまうのだけれど)。

2005_0506 当時は他にも、学生の実験アニメーション作家が多くいた。例えば昼間行雄さんとか(確か今は青山の「こどもの城」の職員をされているんじゃなかったかな)。「アニメーション80」なんてグループも有名だったな(調べてみたら、何とこのグループも現存していました)。また、これもアニメーションの範疇に入れてイイと思うんだけど、九州の大学の学生だった伊藤高志さん(現在は京都にある大学の先生)の『SPACY』を初めて見た時には、マジぶっ飛んだっけ(体育館を写したスチル写真の中に無限に“突入”していくというスゴいフィルム!)。

 そんな風に、個人がCG作るなんて夢のまた夢だった時代から、いろいろ工夫して、オモシロイ“動き”を創出してきた歴史があるんだけど、そうしたアニメーションは、セル画アニメを“主流”とする歴史の中にあっては、どうしても“傍流”の扱いになってしまうワケで、マニアックな人たちならともかく、社会的な認知度が今一つなのは「仕方がないか」と思う一方で「残念だなァ」とも思う。
 だってサ、彼らの活動だって、間違いなく、現在の「ジャパニメーション」の隆盛の礎になっていると思うんだもの。


【参考】IKIFのサイト
http://www.ikifplus.jp/ikif/

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映画『立喰師列伝』を観る。

2006_0505b【5月5日(金)】 千葉の「京成ローザ10 WEST」にて、話題の『立喰師列伝』(押井守監督)を鑑賞。客の入りはまばらだが、夜8時からのレイトショーだから、こんなモンか。一見してコアなオタクとわかるヤツもいる。もっとも、向こうもコチラを見て同じ様な事を思っているのかもしれんが。何せ、客層は見たところ、20代後半〜30代半ばといったところだから、40代後半に突入したオレなんぞは、何だか場違いなトコロに来たような気もしてしまう。しかし、そうは言っても「ジャパニメーション」の“第一人者”たる押井監督の最新作なんだから、コアでなくても、アニメ好きなら、、やっぱ外すワケにはイカンだろう。

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杉浦日向子の夏空。

【7月26日(火)】 著名なマンガ家やイラストレーターが次々に逝く。1月に中尊寺ゆつこ急逝の報に接した時には思わず「マジかよ」と口走ってしまい、先月、永島慎二と長新太の両巨匠が他界された時には「時の無常」を感じたが、まさか杉浦日向子までが逝ってしまうとは思わなかった。今年は一体どうなってるんだろう?

 杉浦日向子は、マンガから離れてずいぶん経つし、世間的にも、時代考証家、江戸文化研究家としての知名度の方が大きい。でもボクは、やっぱり彼女を「マンガ家」として扱いたい。

2005_07-26 彼女の代表作『合葬』を読んだのは、大学の卒業間際だったと思う。正直言って好みの絵柄ではなかったし、そう面白い物語とも思えなかった。しかし、自分と1歳しか違わない、それも女性が、これほど緻密な作品を、しかも「時代モノ」というジャンルで描いて見せたことは“ショック”だった(ある種の嫉妬も含めて)。
 加えて、ラスト近くの、草原の上に広がる夏空を描いた見開きの場面(手元にある青林堂版で言うとP.170〜P.171)が強烈に脳裏に刻み込まれてしまった。構成力があるということだ。このことで、ボクは杉浦日向子というマンガ作家を認めざるを得なかったのである(物語の細部は忘れてしまっても、この見開きページだけは、何年経っても記憶にずっと残っていた)。

 ボクは『合葬』の他は数編の作品しか読んでいないので、彼女のマンガ作品全体について語る資格はないが、彼女にはマンガ家であり続けてほしかったし、筆を折ったとは言っても、きっといつか、気が向いたらまた、創作を再開するかもしれないとも思っていた。
 もうそれもかなわない。46歳……あまりにも早過ぎる。

 杉浦日向子さんのご冥福をお祈り致します。

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『機動戦士Zガンダム/星を継ぐ者』を観る。

【7月8日(金)】 最近、東京での用事を済ませた後、映画を見ていくことが多くなった(「早く帰って仕事せェ」との声も聞こえてきそうだが……)。そんなワケで今日も、ちょっと遅くなってはいたが、渋谷ジョイシネマへ行って、20時40分からのレイトショーを見ることにした。最近、この「レイトショー」って制度を導入する劇場が増えてきたが、オレのような金欠フリーランスには非常にありがたい(例えばココの場合、通常1,800円のところが1,300円で見られる)。

 で、何を見たかっていうと『機動戦士Zガンダム/星を継ぐ者』……スマンね、オタッキーなヤツで。でもワタシゃ、Z(ゼータ)ガンダムって結構好きなのですよ。なかなか内容がハードなモンでね。三枝成彰さんの音楽もイイし。
 ただねェ、コレはTVでは全50話あるんだけど、最初見た時は、何がどうなっているのか(例えばドコとドコが戦ってるのか)サッパリわからなかった。登場人物もやたら多いし。再放送を見て、本なんかも読んで、ようやく理解に至った。だから、その意味で言うと、コレは“非常に不親切な作品”である。

 映画にまとめられる際、その辺がどんな風に“改善”されるかが関心事の一つだったのだが、見てみたら、ちっともわかりやすくなっていなかった。たぶん、TV版を見ないで初めてコレを見た人には、サッパリわかんないだろうな。もっとも、その“わかりにくさ”がZの“持ち味”であるとも言えるのだが。

2005_07-08 もしかしたら、後に続く2作品(本作は3部構成。2は今秋、3は来春公開)では、ストーリーが変更されたり、もう少しわかりやすい構成になるのかもしれないが、それだったら尚更、導入部にあたる「1」は“初心者”にもわかるようにした方がよかったと思う。一部の絵を描き換えるよりは、いっそ全編新たに描き直して、丸っきり作り直したほうがよくはなかったか。それとも、富野さんは最初から“万人受け”は狙っておらず、コアなファンだけ見てくれればイイと思ってるのだろうか。

 とまァ、こんな風に書くとかなり否定的に読めたかもしれないが、個人的には、前述したようにTV版が好きなこともあって、結構楽しんで観たことは確かである。一応、付記しておく。

作品とは関係ないハナシだが、富野由悠季監督って、年を重ねるごとに、頑固じいさんっぽくなっていくなァ……

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勲章だゾ!

【5月18日(水)】 日本PTA全国協議会が発表した「子供に見せたい番組・見せたくない番組」のランキングが新聞に載っていましたな。それによると、昨年に続いて『クレヨンしんちゃん』が「見せたくない番組」の堂々第3位に入っている(ちなみに、小学5年生の保護者に限ればダントツの1位だったとか)。いやァ〜、マンガイラスト描きの端くれとして、心からお祝い申し上げます。

2005_05-18 イヤ、皮肉じゃないよ。ブログ化する前の日記にも書いたことがあるけど、これにランキングされることは“勲章”だと思ってるから。オレ自身は『クレヨンしんちゃん』を見たことはほとんどないんだけど、コレの上位にランキングされただけで、後世に残る“名作”に間違いないと断言するね。
 だってサ、いつの世も、親(具体的には母親だろう)が眉をひそめるモノほど面白く、子供から支持されるじゃん(あの『鉄腕アトム』だって、大昔は“良識ある大人”の槍玉に挙がったのだ)。

 言い換えれば、少なくともマンガに限って言えば、大人が目を三角にするくらいでないと、子供にはウケないってことだと思うね。

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