泣けたCM。

小っ恥ずかしい話だが、不覚にもTVCMを見て泣いてしまったよ。
キッチン用品メーカー「サンウェーブ」社の『サンヴァリエ〈ピット〉』というシステムキッチン のCM……カンガルーの着ぐるみを着たガキが出てくるアレだ。
見たことがある人は多いだろうし、サンウェーブのサイトでも見られるので(下記参照)、ストーリー構成などは省くが、「♪パ〜タパ〜タく〜ん」という唄がもの悲しいせいもあって、見終わった途端に落涙してしまった(T_T)。

2007_05cどうしてか——

——子供が見ている「夢」に見えてしまったからなのだ。

オレには、子供が、母親との理想的な関係を夢想しているように見えてしまった。現実には、母親との関係が「甚だよろしくない」のかもしれず、それゆえ夢の中に、自分に優しく接してくれる“もう一人の母親”をつくっている……ように見えてしまったのだ(だいたい、着ぐるみなんぞ着ていることからして非現実的だし、現実の母親だったら、物を隠したりしたら、確実に叱るに決まってる!)

もちろん、CMの企画者はそんなコトはまったく考えてないはずで、制作したクリエーターにとやかく言うつもりは毛頭なく、あくまで「オレにはそう見えてしまった」というだけの話なのだけれど、そんな風に見えてしまったのは、やはり最近、親が子を虐待したり、子が親を殺めたり……といった出来事を耳にすることが多くなっているからなのだろうと思う。

【参考/サンウェーブ社 広告ギャラリー】
http://www.sunwave.co.jp/gallery/cm.html

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なかなか出来がよかった『怪奇大作戦 セカンドファイル』。

リンク集の中でも公言しているが、ワタシゃ、円谷プロ制作による往年の特撮ドラマ『怪奇大作戦』の大ファンである。
知ってる人は知ってるだろうが、1968年に『ウルトラセブン』の後番組として日曜夜7時から放送されたこの番組は、怪奇な事件を「SRI」(科学捜査研究所)という組織が解き明かしていくという筋書きで、当時高視聴率を上げた。まァ、今改めて見ると(DVDが出てます)、稚拙な特撮があったり(CGなんてなかったんだから、こりゃ仕方がない)、正直「設定に無理があるんじゃないの?」と思わなくもないのだが、動機無き無差別殺人を扱った『かまいたち』(第16話)とか、『チャイルトプレイ』の先を行っていた『青い血の女』(第7話)など名作も多く、特に、実相寺昭雄監督による『呪いの壺』(第23話)と『京都買います』(第25話)は「最高傑作」の呼び声が高い。

その名作ドラマが『怪奇大作戦 セカンドファイル』としてリメークされ、先ごろNHKのBSで放送された(全3話)。まず、4月にBS-hiで放送され、ゴールデンウィークにBS2で再放送された(再放送では旧作のセレクトも併せて放送)。
で、ワタシゃ再放送で全3話を見たのだが、これがなかなかの出来映えなのだ。中でも『呪怨』の清水崇監督が演出を担当した第1話『ゼウスの銃爪』は傑出している。“元ネタ”は「人体発火」を描いた旧作第4話『恐怖の電話』だが、これが“今風”にアレンジされており、思わず「なるほど、そ〜来たか」と唸ってしまった。清水監督らしく、物語にも適度なユーモアがあって、なかなかよろしい。

2007_05bリメーク版について、ファンサイト等では、当然ながら、賛否両論があるようだ。評価する人の中でも、ワタシ同様「第1話がいい」という人がいる一方で、「第2話(昭和幻燈小路)がイイ」「いや第3話(人喰い樹)だ」との声もあがっている(でも、やっぱりワタシゃ第1話を推す)。

旧作で岸田森、勝呂誉、松山省二、原保美、小林昭二、小橋玲子が演じた主要登場人物を演じるのは、西島秀俊、田中直樹(ココリコ)、青山草太、岸辺一徳、寺田農、美波といった面々。旧作とはキャラクターのイメージが異なるが、同じキャラをリメーク版に求めるのは不粋というものだろう。なお、SRIの正式名称が「特殊科学捜査研究所」になったのは、旧作と同じ「科学捜査研究所」では、現実にある組織と混同されてしまうからだと思う。

NHKのことだから、いずれ地上波でも再放送するんじゃないだろうか。その折には、ぜひ見てみていただきたい。また、NHK製作の割には(といってはナンだが)意外に出来がよかったので、「半期に3作ずつでもいいから、続きを作ってほしい」と個人的には希望しておく。これからもちゃんと受信料払うから。

《参考:怪奇大作戦セカンドファイル 公式サイト》
http://www.nhk.or.jp/kaiki/

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ついに『憂國』を“目撃”したゾ!

【5月12日(金)】 キネカ大森の「三島由紀夫映画祭」が最終日だ。行こう行こうと思いつつ機会を逸していたのだが、今日を逃すと見れなくなるので、重い腰を上げて電車に乗り込んだ。何しろ“幻の映画”とされてきた『憂國』を上映している。見に行かないわけにはいかない。

 ボクが説明するなどおこがましいが、『憂國』は、三島が割腹自殺する数年前、自ら出演・監督して制作した30分弱の短編。その内容ゆえ、事件後、夫人の意向で全てのプリントが焼却処分された。つまり、もうこの世に存在せず、永遠に見ることができないと思われてきた映画なのだ(手元にある『ATG映画を読む』〜佐藤忠男編・フィルムアート社刊〜の解説ページには「作品は1971年1月で廃版」と注記がある)。
 ところが昨年、三島邸内でネガフィルムが発見されるという、驚くべきニュースが報じられた。実は、共同製作者の藤井浩明氏が遺族を説得したことで、ネガだけは処分を免れ、人知れず廷内に持ち込まれていたのだという。

 それが、再び発見されて“封印”が解かれ、ニュープリントによる上映やDVD化が決定。今まで存在しないとされていた作品を見られるのは、映画ファンにとって無上の喜びである。映画は時折、こんな“奇跡”を起こすからスゴい(国内では空襲等で失われたプリントが、外国の美術館などで、ひょっこり見つかったりする。これは個人的願望だが、どこぞの国の倉庫に、国内では失われて見ることができない、山中貞雄監督の作品が眠っていないものか……)。

 とはいえ、ボクは『憂國』のネガが発見されたと聞いた時に「やけにタイミングがよすぎるな」とも思った。ナショナリズムが少しずつ広がりを見せつつあるだけに、まるで“亡霊”が蘇ったかのように感じられたのだ(その意味では「時代が喚んだ」と言えなくもない)。

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実験アニメーションの系譜。

【5月6日(土)】 『立喰師列伝』の続きになるけど、スクリーンを見ながら「スチル写真を使った、こ〜ゆ〜手法のアニメーションって、むか〜し『IKIF』がやってたよなァ」とボンヤリ考えていたら、スタッフのクレジットに「3D監督 IKIF」と出ていてビックリしてしまった。

 「IKIF」は1980年代に多くの実験アニメーションを発表して話題だった男女2人の制作ユニットで(確か東京造形大の人達じゃなかったかな)、当時、大学の自主映画サークルにいたボクは、彼らの作品を見て「世の中、いろんな事を考えつく人がいるモンだなァ」と唸ったものだった。学生だから、やがては卒業するわけで「きっと、どこかの会社に就職してCMか何か作ってるんだろ〜な」くらいに思ってたんだけど、まだ「IKIF」として活動してたんだ〜!

 調べてみたら「IKIF」のサイトがありました(下記参照)。二人とも(どうやら結婚されたようですね)、大学で教鞭を執りながら、現在も作品の制作・発表を続けているとのこと。併行して「IKIF+」というCG制作プロダクションを設立して、映画やゲームなどのCG制作を請け負っているそうな。あとで調べたら、その方面のギョーカイでは、定評あるプロダクションになっているらしい。

 なんだ……単にオレが無知なだけだったのか(-_-;)。

 それにしても……なるほど、昔は8mmや16mmのフィルムで作ってたけど、さすがに今はもォ、コンピュータだよな。でも、今だったらFlashで簡単に作れちゃうような動きも、昔は1コマ1コマ丹念に作ったワケで、今になって考えると、技術的にも体力的にもスゴい事だと思う。でも、それだからこそ「動き」についての感性が磨かれるんだろうと思うし、その辺りが、Flashアニメしか知らない昨今のヤツらとの“力量の差”につながってくるんだろうと思う(なァんて、つい、ジジくさいことをつぶやいてしまうのだけれど)。

2005_0506 当時は他にも、学生の実験アニメーション作家が多くいた。例えば昼間行雄さんとか(確か今は青山の「こどもの城」の職員をされているんじゃなかったかな)。「アニメーション80」なんてグループも有名だったな(調べてみたら、何とこのグループも現存していました)。また、これもアニメーションの範疇に入れてイイと思うんだけど、九州の大学の学生だった伊藤高志さん(現在は京都にある大学の先生)の『SPACY』を初めて見た時には、マジぶっ飛んだっけ(体育館を写したスチル写真の中に無限に“突入”していくというスゴいフィルム!)。

 そんな風に、個人がCG作るなんて夢のまた夢だった時代から、いろいろ工夫して、オモシロイ“動き”を創出してきた歴史があるんだけど、そうしたアニメーションは、セル画アニメを“主流”とする歴史の中にあっては、どうしても“傍流”の扱いになってしまうワケで、マニアックな人たちならともかく、社会的な認知度が今一つなのは「仕方がないか」と思う一方で「残念だなァ」とも思う。
 だってサ、彼らの活動だって、間違いなく、現在の「ジャパニメーション」の隆盛の礎になっていると思うんだもの。


【参考】IKIFのサイト
http://www.ikifplus.jp/ikif/

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映画『立喰師列伝』を観る。

2006_0505b【5月5日(金)】 千葉の「京成ローザ10 WEST」にて、話題の『立喰師列伝』(押井守監督)を鑑賞。客の入りはまばらだが、夜8時からのレイトショーだから、こんなモンか。一見してコアなオタクとわかるヤツもいる。もっとも、向こうもコチラを見て同じ様な事を思っているのかもしれんが。何せ、客層は見たところ、20代後半〜30代半ばといったところだから、40代後半に突入したオレなんぞは、何だか場違いなトコロに来たような気もしてしまう。しかし、そうは言っても「ジャパニメーション」の“第一人者”たる押井監督の最新作なんだから、コアでなくても、アニメ好きなら、、やっぱ外すワケにはイカンだろう。

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『風と共に去りぬ』デジタル・ニューリマスター版を観る。

2006_01-28【1月28日(土)】 昨日の話になるが、取材に行った帰り、有楽町まで足を延ばし、『風と共に去りぬ』を観に行った。上映館は京橋の「ル・テアトル銀座」。ここは通常は芝居の劇場だが、数年前から毎年この時期、「テアトル東京クラシック」と銘打って、往年の名画をリバイバル上映している(かつてココに、シネラマ大スクリーンの映画館「テアトル東京」があったことにちなんでいる)。
 今回の『風と共に去りぬ』も、その上映企画の一環。しかも「デジタル・ニューリマスター版」での上映。正直言うと、ストーリー的には、ボクには世間が誉めるほどの名作とは思えないのだが(だって、要は“タカビーな金持ち娘の一代記”でしょ?)、デジタル上映がエラく好評と聞き、「これは観ておかなくてはなるまい」と足を運んだ次第。

 場内に入った第一印象は「ちょっとスクリーンが小さいんじゃない?」ってこと。スタンダードサイズだとこんなモンなのか。でも、ここでシネスコ大画面の『2001年・宇宙の旅』や『ベン・ハー』を経験している身としては、やっぱり何だか物足りなく感じる(もうちょっと天地があってもイイような気がする)。

 そんなワケで、ちょっと前の方に座ったのだが、本編の上映が始まったら、のっけからビックリしてしまった。確かにキレイなのだ。輪郭がクッキリしていて、色が鮮やか。しかも明るい。音もクリア。これがデジタル処理の威力なのか。素直に感激してしまった。
 前述したように、ストーリー的にはボクはあまりこの映画を買わないのだが、ドラマ展開のテンポがよいのは確かで、その辺りも人気の一つなんだろうと思う。実際、足かけ4時間半(ただし、途中休憩が25分間も入る)の上映時間が、さほど長く感じなかった。キレイな映像だけでも一見の価値はある。

 ただ、一方で「でもねェ」と、へそ曲がりな事も思う。古い映画がキレイな映像で見られるのは、確かにウレシイことだけれども、フィルムの退色やキズ、また“シャリシャリ音”も「映画の一部」なワケで、そういうのも含めて楽しむのも「ありなんじゃないかな」とも思うのだ。どっちがイイ、ワルいじゃなくてね。

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『亡霊怪猫屋敷』を見る。

【11月25日(金)】 昨日は帰りがけに、また京橋のフィルムセンターへ行って映画を見たのだ。開催中の「第6回東京フィルメックス」の一環として、生誕100年・中川信夫監督特集をやっておるもんでね。

 中川監督といえば、怪談映画の第一人者。『東海道四谷怪談』とか『地獄』あたりが“怪作”として知られておりますな(『東海道…』での、座敷が沼地に一瞬間変わるイメージなんか「おォッ!」と喜んじゃいます)。
 とはいえ、ワタシゃ根っからの臆病者で、ホラー映画は大の苦手。でも、昔の怪談映画は、今となってはあんまり恐くないので、安心して見れてしまうのですね。

 で、今日の“出し物”は『亡霊怪猫屋敷』(1958年)。どんな話かというと……

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三木聡監督作品2本立てを見る。

【10月7日(金)】 徹夜仕事の後、別の小さな仕事を2つこなしたのだが、それらが終わった途端、張り詰めていた糸がほどけてしまい、何もする気力がなくなってしまった。別の案件もあるし、この日記の更新も滞っているので、そうノンビリもしてられないハズなのだが、エンジンが全くかからない。

 そこで「こ〜ゆ〜時は、面白そうな映画を見に行くに限る」と勝手に理由をつけ、目黒シネマまで『イン・ザ・プール』と『亀は意外と速く泳ぐ』を見に行った。どちらもこの夏、テアトル新宿で相次いで公開された映画。放送作家・演出家の三木聡が監督したということで、一部で話題になった作品である。

2005_10-07 『イン・ザ・プール』は奥田英朗の小説の映画化。変な精神科医と変な患者たちをめぐるエピソードの積み重ね。主人公の医師を松尾スズキが怪演するが、張り切りすぎて、何だか空回りしてるような印象。その一方で、温厚なサラリーマンを演じるオダギリジョーが、なかなかイイ味を出している。
 『亀は意外と速く泳ぐ』は上野樹里主演。ついこの間まで女子高生を演じていたのに、イキナリ主婦役である(と言っても、ほとんど女子高生の延長的なキャラなのだが)。平凡な日々に退屈する主婦がスパイを志願するという話だが、せっかくのバカバカしい設定が、あんまり生きていないように思える。ただ、上野は喜劇女優として大成するかもしれん。憧れの先輩(要潤)の“秘密”を知った時の慌てぶりはおかしかった。

 とはいえ、両作品とも、つまらなくはないが大笑いするほど面白いワケでもなく「何ともビミョーな仕上がりだなァ」というのが率直な感想。しかも、帰りの電車の中でプログラムパンフを読んだら、そのテイストが“狙い”だったりもするらしい。ウ〜ム……。

 いずれにしろ、気分転換できるほど笑える映画ではなかったのは確かで、「こんな気分の時は、ひねった笑いではなく、単純に大笑いできる映画の方がよいな」と思った次第。

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カトリーナとスティーブン。

【9月7日(水)】 また台風が来ておるな。今日は打ち合わせがあったので、高速バスで横浜へ行ったのだが、風が強いから「もしかしたら、アクアラインが通行止めになるかもしれん」と心配していたら、通行止めどころか思いのほかスムーズにバスが走り、予定より早めに到着してしまった。

 ところで、今回の台風も各地に深刻な被害をもたらしたようだが、アメリカのハリケーン「カトリーナ」による惨状を見ると、かの国の人には申しわけないが「日本って国は、まだ捨てたモンじゃない」と思ってしまった。そりゃあ、細かく見れば、いろいろ課題がないワケではないのだろうが、少なくとも救助隊はすぐ出動したし、避難所の秩序は保たれている。向こうのように、水浸しの街に何日もほったらかしにされたり、ましてや避難所が無法地帯と化したりはしないのだ。

2005_09-07 そんなニューオーリンズの、憔悴しきった市民の表情をニュース番組で見たら、スティーブン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』を思い出してしまった。この映画、世間的な評判は今一つだったようだが、オレは「傑作である!」と公言してはばからない。こう言うたびに「え〜!?」という声を上げられてしまうのだが「大傑作ではないかもしれないが、少なくとも傑作の範疇には入る」と断言してしまう。
 今回の「カトリーナ」の惨状を見て、改めてその気持ちを強くした。予期せぬ脅威が来襲した時、それに対抗する術(すべ)が今のアメリカにはないことを、スピルバーグは見事に描いてみせた。「カトリーナの惨状を予言した映画」などと言うつもりはないが、それでもやはり、ヤツはタダモノではない。

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『誰も知らない』と『トニー滝谷』を見る。

【7月15日(金)】 JR目黒駅のすぐ近くにある名画座、目黒シネマにて、見逃していた『誰も知らない』(是枝裕和監督)と『トニー滝谷』(市川準監督)の2作品を鑑賞。上映最終日の最終回、しかも金曜日の夜ということで、場内は満席に近い入りだった。

 『誰も知らない』は、お母ちゃんが子供4人を放っぽらかしていなくなっちゃったという、実際の事件をモチーフにした作品。知っての通り、主演の柳楽優弥が、昨年のカンヌ国際映画祭で史上最年少の主演男優賞を取った。その際、審査委員長のクエンティン・タランティーノ監督は「彼の目が忘れられなかった」と言ったそうだが、なるほどイイ目をしている……ってオレはランバ・ラルか(あ、またオタクなネタでゴメンね)。
 受賞のせいで、とかく柳楽クンにばかりスポットが当たりがちだが、弟妹を演じた他の子供たちも非常にイイ表情と演技をしていることは、もっともっと喧伝されていい。特に、末妹を演じた清水萌々子ちゃんは、撮影開始当時は4歳だったというから驚きである(母親を駅まで迎えに行くと言って兄姉を困らせるシーンでの演技を見よ!)。母親役のYOUの演技は、正直ちょっと違和感があったのだが(キネマ旬報の助演女優賞取ったけどね)、キャラクター的にはハマっていると思う。
 映画は悲しい結末になるのだが、見ていて、それほど悲惨な感じはしない。すでに多くの映画評で指摘されている通り「それでもやっぱり生きていく」という逞しさの方が強く伝わって来る。ただ、帰りの電車の中でラストシーンを思い出したら、ウルウルしてしまった。「後々くる映画」だと思う。

2005_07-15B 『トニー滝谷』は、村上春樹の短編小説の映画化(トニー谷のパロディじゃないヨ! 原作は未読)。孤独な中年男(イッセー尾形)と二人の女性(宮沢りえ二役)をめぐる話が、西島秀俊のナレーションと共に淡々と綴られていく。市川作品らしい、繊細なタッチで描かれていくが「さァ、これからどうなる?」というところで、映画は唐突に終わってしまう。正直「え、これで終わり?」と呆気にとられてしまったのだが、今になって考えると、この終わり方は案外「正解」かもしれない(さて、トニーはあの後、再び電話をかけるだろうか、それともかけないだろうか……)。
 主人公の「フリーのイラストレーター」という設定は、孤独な男→組織には属さないで生きる→フリーランス……って連想かもしれんが、もしそうなら「ちょっと安易じゃない?」って気がしないでもない、とはいえ、オレ自身がまさしくそ〜ゆ〜職業なので、やっぱその分、余計に感情移入して見てしまうね。

 それにしても、いつもながら目黒シネマは、イイ番組編成をする。しかも、2本立てで一般1,500円。情報誌やウェブアンケートによる割り引きを使えば200円オフになるので、1本あたり650円で見られる計算。これぞ“名画座の醍醐味”ってモンだ。

《誰も知らない/作品サイト》
http://www.kore-eda.com/daremoshiranai/

《トニー滝谷/作品サイト》
http://www.tonytakitani.com/j/

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